北九州市八幡東区のテーマパーク「スペースワールド」が12日から、氷漬けの魚など約5千匹の上でアイススケートを楽しむ企画を始めたところ、インターネット上で「残酷」「趣味が悪い」などの批判が集中。スペースワールドは27日、企画の中止を発表し、「不愉快な思いをさせ大変申し訳ない」と陳謝した。
スペースワールドは今春以降、「今年から、アホはじめます。」というキャッチフレーズを掲げ、英会話が流れるジェットコースターなど奇抜な企画を次々に実施。冬の企画を考える中で、スケートリンクを「氷の水族館」に見立て、厚さ約30センチの氷に魚を入れ、その上を利用者に滑ってもらう案になった。社員から慎重論は出なかったという。
1周約250メートルのリンクでは、サンマやタコ、トビウオなど25種類が氷漬けにされ、群れで泳ぐ姿や海底にいる様子を表現。企画を「日本初」「前代未聞」とうたってPRしていた。魚は北九州市内の市場で仕入れ、「活魚は一切使っていない」という。
26日昼前から短文投稿サイト「ツイッター」などで批判や疑問の声が上がり、公式ホームページが一時、閲覧しにくい状態になった。電話やメールでの批判も相次ぎ、同日夜に企画中止を決めた。竹田敏美総支配人(51)は「楽しく見せたいという思いが行き過ぎた。12月中旬をめどに通常のスケート場に戻したい」と話した。
客からは27日、批判や戸惑いの声が聞かれた。大分県別府市の大学3年、河野遥香さんは「魚の上で滑るのは罪悪感がある。誰が考えたのか」と首をかしげた。娘やその友人と来た北九州市小倉南区の主婦(45)は「子どもたちは魚がどんな仕掛けになっているか楽しみにしていた。批判があるのは分かるが…」と困惑した様子だった。
魚は氷が溶けた後、取り出して供養し、敷地内の花の肥料などに活用するという。