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「ユーチューバー」仕事になる? 閲覧増で高額収入も…その“素顔”に迫った

記者:佐橋史直

今林佑太さんがこれまで投稿したさまざまなレビュー動画。視聴者から率直なコメントも届く

アパートの一室で一人、カメラに向かって熱心に商品紹介をする今林さん

 「ユーチューバーになりたい」。最近の子どもたちに将来の夢を尋ねると、そんな答えが返ってくることが少なくない。インターネットの動画サイト「YouTube」(ユーチューブ)に、独創的な自作の動画を投稿するクリエーターのことで、気軽に投稿でき閲覧数が上がれば高額の広告収入も期待できる。「♪ペンパイナッポーアッポーペン…」とコミカルに歌う動画で一躍、時の人となった「ピコ太郎」さんのようになりたいと夢を描く若者も多い。しかしアイデア勝負の世界だけに厳しさも。ユーチューバーたちの素顔に迫った。
⇒訴訟や個人特定のリスクも

アイデア勝負の世界に厳しさ

 「スマホを新機種に変えて3日。手のひらサイズで使えるし、完璧です」。福岡県筑紫野市のアパートの一室をスタジオ代わりに、一人カメラに語りかける男性。映像制作を仕事としている今林佑太さん(25)だ。スマートフォンにカメラ…。小型家電などを、使ってみて批評する「レビュー動画」を中心に投稿し、今や総視聴回数は176万回を超える。

 ユーチューバーの活動を始めたのは2013年4月。学生時代から自主映画の制作などをしており作品を見てもらうためのファン獲得が目的だった。当時はまだユーチューバーという言葉も一般的ではなかった。

 最初は、視聴数が20回も満たなかったが、iPhoneの新機種発売日に投稿した実機レビューが評判を呼び、その後も、スマホの視聴者に配慮した動画の見せ方や編集技術の高さが評価され、ファンが増えた。「テレビの番組にはない素人っぽさが逆に魅力なのでは。1人で制作できる手軽さもいい」という。

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 「スライム風呂に挑戦」など、体を張った動画が人気の「はじめしゃちょー」さんは複数の番組を持ち、総視聴回数は約38億8千万回に上る。ユニークな商品紹介で知られる「ヒカキン」さんは、国内総登録者数が日本一の870万人超で、約55億3千万回の視聴回数を誇る。

 主な収入としては、動画再生時の広告表示回数に応じた広告料があるが、はじめしゃちょーさん、ヒカキンさんが所属するユーチューバー専門のマネジメント会社UUUM(東京)によると、さらに商品紹介を依頼する企業とのタイアップ報酬などもあるという。

 ただユーチューバーが増えるとライバルも増えるので、飽きられない工夫が求められる。内容に凝れば制作コストもかかる。今林さんは新機種が登場するたびにスマホを機種変更してきた。「視聴数は伸びるけど、お金も飛んでいく」

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 何百万人ものファンを抱えるユーチューバー。自治体の中にはその影響力に注目し「広告塔」として起用するケースも増えている。

 長崎県壱岐市は昨年12月、ふるさと納税のPRにUUUM所属の木下ゆうかさんを起用。同市担当者は「ふるさと納税の申し込みはウェブサイトからが大半。ウェブ上で話題になるようなPRをしたい」と狙いを話す。返礼品のうに、壱岐牛などを豪快に食べる動画は100万回以上視聴されるなど反響があった。宮崎県綾町は観光客誘致や移住促進を目的に、福岡市で以前「カワイイ区」の区長をするなど福岡を拠点に活動するカナダ人のミカエラ・ブレスウェートさんに動画配信を依頼。ミカエラさんは同町に1カ月滞在し街歩きやお祭りの様子、自然あふれる町の魅力を独自の視点で伝えた。

 大阪の専門学校は今年4月からネット動画のクリエーターを目指す専攻コースを開設。姉妹校の福岡デザインコミュニケーション専門学校も専攻コースを4月に開設する。同校は「ユーチューバーの知名度が上がり、手法を学びたいというニーズがある」と説明する。「好きなことで、生きていく」。ユーチューバーのCMにそんなフレーズがある。「ユーチューバー」という仕事が当たり前になる日も近いのかもしれない。



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