qBiz 西日本新聞経済電子版
ログイン

「カウンターレディ募集中」の謎

記者:木村貴之
デスクコラム

酒場の店先に掲示された手作りの求人看板。募集人材は容姿、年齢とも問わないように受け取れる(画像の一部を修正しています)

対照的に、募集条件が細かすぎるほど書き込まれたもう一つの看板。はたして店主の本音は?(画像を一部修正しています)

グラスをピンスポで照らし、注文の酒を作る店主。「求人看板のイメージとは違うスタイリッシュな雰囲気づくりが狙い」と話す

 福岡市・天神地区の路地裏をぶらついていて、酒場の前に貼り出された2枚の求人看板が目に留まった。1枚は「カウンターレディ募集中 容姿に自信のある方お断り 年齢不問?」。一方で、もう1枚には「目がはなれすぎてない方」「鼻がめくれてない方」と、まるで反対の内容が記されていて、矛盾している。一体、どっちが本当なのか。それとも冗談なのか。ともに、思い入れのありそうな手書きだ。気になって仕方がない。

 謎解きに挑みたい気分を抑えられず、その夜、仕事を終えて店に飛び込んだ。カウンター正面にはウイスキーやリキュール類のボトルが整然と並べられ、カクテルグラスがスポットライトに映えている。BGMは80年代ソウル。手書きの看板で抱いたイメージとは違う、スタイリッシュな空間が広がっていた。愛想よく出迎えてくれた男性店主(51)に話を聞くと、意外な答えが返ってきた。

 「実は、看板のターゲットはお客さん。『変な看板』と立ち止まる人の大半は、営業中なら店内をのぞき込み、好奇心が旺盛な人は来店してくれる。準備中の昼間でも通りがかりのOLさんが看板を写メで撮ってSNSに投稿することもあり、口コミ効果にも期待しています」

 店主によると、オープンしたのは一昨年12月。営業を軌道に乗せるため、昨年の年明け頃から看板を掲示したところ、新規の来店客が徐々に増え、常連も根付き始めたという。

 「看板と店の雰囲気のギャップが、逆に楽しまれているようで」

 狙いはもう一つある。店のある界隈には、年季の入った小料理店やカラオケスナックが立ち並び、「昭和」の薫りが漂う。「イメージしたのは高度成長期の下町。その頃は福岡でもあちこちの店先に『従業員募集 住み込み可』『トラック配送承ります』などの張り紙があった。時代は当時と全く違うけど、通りに昔の活気を呼び戻す願いも込めた」



Recommend

ランキング(週間)

Recommend