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保護主義実現に懐疑的見方 米国進出の日系企業 トランプ氏政策、具体化乏しく

 【ワシントン田中伸幸】トランプ米大統領は保護主義的な経済政策を実現できないのではないか−。米国内で九州の地場を含む日系企業からこんな見方が出ている。トランプ氏は北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しなど強硬策を訴えてきたが、就任100日を過ぎても具体的な動きは乏しいからだ。

 世界25カ国で国際物流事業を展開する西日本鉄道(福岡市)は、トランプ政権発足後、米国事業は堅調な半面、メキシコでの1〜2月の貨物取扱量が数%落ち込んだ。同社によると、自動車メーカーは人件費の安いメキシコで部品を作り、NAFTAによって関税ゼロで米国に輸出。これに対して国内生産の拡大を求めるトランプ氏がNAFTA離脱をちらつかせたため、就任前後からメキシコでの生産に慎重な動きが出た。

 その後、トランプ政権はNAFTAの再交渉方針を示したものの、明確な政策は不明。医療保険制度改革(オバマケア)見直しなど多くの看板政策は実現しておらず、同社米国法人の宇高圭一社長は「メキシコの物流は3月には回復し始めた。そんなにむちゃなことはしないのではという雰囲気が出ている」と話す。

 三井ハイテック(北九州市)も、カナダでの高性能モーター部品の製造を5月に始めるなど「トランプショック」の影響はほとんど見られない。

 米南東部アトランタに2013年から進出している化学品専門商社、田中藍(福岡県久留米市)が注目するのは、米国から製品を輸出する企業の法人税を軽くし、輸入企業の負担は重くする「国境税」。当面導入は見送られたが、現地法人の加藤将太副社長は「導入されれば、米国外からの原材料の仕入れ先を変更しないといけなくなる」と神経をとがらせる。

 トランプ氏は就任100日の演説で「米国を外国の好きなようにはさせない」と改めて強調。支持者から大歓声を受けるなど強硬策への期待は大きい。

 こうした状況に、日本政府は3月下旬から4月中旬にかけて、日本企業が米国に投資し、雇用を創出している現状をアピールするテレビCMを放送。警戒感はなおくすぶっている。

 08年から米国で経済情勢を分析してきた丸紅(東京)の今村卓ワシントン事務所長は「支持率が下がっており、トランプ氏は大きな変革より小さな成果を積み上げざるを得なくなっている」と指摘。「今は政権のもたつきで日系企業への影響は少ないが、来年の中間選挙前に成果が必要になれば、標的にされる可能性はある」と述べた。



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