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雲仙岳災害記念館が初の大改修 火砕流映像をリアルに

記者:小川俊一

火砕流の熱を赤い光の動きで再現した展示。リニューアルではスクリーンを新設して火砕流の噴煙を映し、臨場感を増す計画だ

火砕流が襲った現場を再現する展示。リニューアルは予定されていない

跳躍器具などで遊べる「こどもジオパーク」のイメージ図

 今月1日、開館15年を迎えた長崎県島原市平成町の雲仙岳災害記念館(愛称・がまだすドーム)が2018年4月、初の大規模リニューアルを行う。44人が犠牲となった雲仙・普賢岳の噴火災害を伝えるため開館したが、近年は入館者数が初年度の4分の1以下に激減している。てこ入れのポイントは臨場感ある映像などを使った「体験」の充実。伝承と集客を両立させる狙いだ。

 記念館は県が寄付金など約43億円をかけて建設。普賢岳の溶岩ドーム(平成新山)を望むのべ床面積約5900平方メートル、2階建ての建物の展示は開館時とほぼ同じだった。改装の目玉の一つは、時速100キロの火砕流を再現した「火砕流の道」の衣替えだ。

 床下に幅1・5メートル、長さ39メートルのガラス張りの空間があり、内部の赤い照明が次々に点灯し火砕流の熱風の動きを表現するが、新たにこの「道」沿いに高さ2メートル、長さ10メートルの大型スクリーンを設置。点灯と同時に、火砕流が起こす噴煙の動画を映し出すことで「火砕流が迫り来る感覚をよりリアルに体感してもらう」(記念館担当者)。

 ハード面だけではない。直径14メートルのドーム形スクリーンを備えた「平成大噴火シアター」で流してきた火砕流や土石流の映像も一新する。見どころは1991年6月3日の大火砕流で犠牲になった人たちの行動をドラマとして描く映像だ。地域を守るため奔走する消防団や災害を伝えようとする報道陣…。「大火砕流に巻き込まれるまで、それぞれの使命を果たそうとした人生」(同)を、高画質と臨場感ある音響が特徴の4K映像で描くという。

 初年度こそ災害展示の有料入館者が約35万9千人に達したが、その後は右肩下がり。14年度に10万人を割り、16年度は熊本地震の影響もあって約7万7千人。記念館を運営する雲仙岳災害記念財団は基金から4億円を投じる改装で、18年度12万人、19、20年度は11万人を見込む。

 新たな需要を開拓しようと、別料金の「こどもジオパーク」も新設。溶岩ドームの岩場をイメージしたクライミング設備や、普賢岳のパノラマ写真を眺めながら楽しむ跳躍器具などを備え、乳幼児も遊べる玩具も置くという。

 これまで記念館にはなかった娯楽要素の強い設備だが、財団の阿南達也理事(79)は「足を運んでもらうことが先決」とした上で「こどもジオパークから災害展示にどう誘導するか。展示以外にも、いろいろな工夫を考えたい」と話す。



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