qBiz 西日本新聞経済電子版
ログイン

“ネタバレサイト”初摘発 発売前の漫画ネット公開容疑 広告収入3億円超?

記者:壇知里、浜口妙華、古川大二

容疑者が運営していた「ワンワンピースまとめ速報」のトップ画面

熊本県警などが押収したパソコンやスキャナーなど=6日午後、熊本北署

 発売前の人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」などの複写画像データをインターネット上で公開したとして、熊本県警などは6日、著作権法違反容疑で、秋田市のウェブデザイナー堀田井良史容疑者(31)、沖縄県北谷町の自営業上原暢容疑者(30)ら計5人を逮捕したと発表した。県警は、ネット広告で3億円以上の収入を得ていたとみている。漫画の画像や粗筋を公開する「ネタバレサイト」の摘発は国外版を除き全国初という。

 逮捕容疑は2016年7月〜17年7月、集英社(東京)の漫画週刊誌に掲載された作品の画像データなどをサイトで公開し、同社の出版権や「ワンピース」の作者尾田栄一郎さん(熊本市出身)、「東京喰種(トーキョーグール):re」の作者石田スイさん(福岡県出身)の著作権を侵害した疑い。

 県警によると、容疑者らは出版社が指定する発売日前に雑誌を売る都内の「早売り店」で週刊誌を購入し、画像データなどをサイトに掲載。バナー広告のクリック数に応じて収入が得られる仕組みだった。

 県警は16年3月ごろから捜査に着手、秋田、鳥取両県警と合同で調べていた。

   ◇   ◇

著作権保護対策が急務

 出版不況が続く中、漫画やアニメは国内外に根強い人気を誇る超優良コンテンツだ。著作権侵害は出版元の死活問題となっており、専門家は「出版社などの努力では限界。国を挙げた対策が必要」と強調する。

 崇城大芸術学部非常勤講師で合志マンガミュージアム(熊本県合志市)の橋本博館長は「インターネットの普及で2000年ごろから雑誌や漫画が売れなくなった」と指摘。出版各社は専門部署を設けるなど、海賊版の追放などを目指してきたが「いたちごっこが続いている」と現状を説明する。

 著作権を管轄する文化庁の担当者も「問題意識は持っているが、具体的なサイトの数などは把握できていない。現状の著作権法は親告罪なので権利を侵害された人が訴えるしかないのが実情」と打ち明ける。

 著作権に詳しい福井健策弁護士は「海外サーバーを通じてサイトを開設するなど身元を隠す技術も高くなった。お金が入る上にその気になれば誰でもできる」と指摘。「違法サイトに誘導する『リーチサイト』の取り締まりや、海外サーバーに接続できなくする『サイトブロッキング』導入など国を挙げたサイバー対策が必要だ」と話す。

 6日、集英社広報部は「著作者が心血を注いで作り上げた作品を、不適切な形で公開し、収益を上げていたことには強い憤りを覚える。今回の逮捕が後を絶たない出版物の海賊行為・不正使用に対し、警告となることを願っている」とのコメントを出した。



Recommend

ランキング(週間)

Recommend