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諫干農地「排水不良」3割 長崎県公社営農者調査 地盤沈下悪化要因か

記者:山本敦文

営農者が水はけの悪さを訴える干拓地の1区画=8月29日、長崎県諫早市

 国営事業で整備され、来年で営農開始から10年になる諫早湾干拓農地(長崎県諫早市)で「水はけが悪くなった」との訴えが増加している。農地を所有する長崎県農業振興公社による営農者アンケートでは、全体(666ヘクタール)の3割が「排水不良」と回答。地盤沈下による勾配の変化や、暗渠(あんきょ)(地下の排水管)の劣化が要因との指摘も出ている。今後、対策を進める中で補修費などが膨らめば、事業の新たな重荷となる可能性もある。

 8月下旬、雨が降って2日後の干拓地。周囲の畑はブロッコリーの苗付けが終わっていたが、泥化した一角は手つかずのままだった。営農者の40代男性は「地盤が沈下し、水はけは年々悪くなっている。水が完全に引かないとトラクターで耕せない」と顔をしかめた。

 営農地は5年契約のリースで、営農者グループ(40法人・個人)は昨年5月、公社に水はけの改善を要請。これを受け調査した公社によると、今年1月のアンケートでは全147区画のうち45区画(201ヘクタール)で「排水不良」の回答があり、目視でも16区画(76ヘクタール)で問題を確認したという。

 もともと水はけが良くない「潟泥」の干拓地は、排水路に向かって勾配をつけて整備し、地下には排水用暗渠が10メートル間隔で設けられている。営農者による暗渠の洗浄や、深く耕して水はけを良くする対応が不十分なケースもあるとみられるが、公社は地盤沈下が均一でない「不等沈下」が広範囲に起きている可能性もあると判断。7月から航空機などによる勾配変化の測量を進めている。

 ただ、改善策として暗渠補修を全ての排水不良区画で行った場合、試算では約1億7千万円が必要となる。公社は急きょ、昨年度からリース料収入の一部を対策基金として積み立て始めたが、本年度末までの積立額は3300万円で、費用を補えるかは見通せない。

 公社は「簡易な排水対策も組み合わせて費用を抑えたい。排水の機能低下は一義的には公社の責任だが、費用負担については県や諫早市などとも相談したい」と説明。農地を整備した農林水産省は「県からの要望があれば対応を検討する」(農地資源課)としている。

 

諫早湾干拓の営農地 有明海西部の諫早湾を全長7キロの潮受け堤防で閉め切る国営諫早湾干拓事業で造成された。長崎県諫早市に位置し、面積は666ヘクタール。堤防を閉め切ってできた調整池から農業用水を給水している。国から農地を購入した同県農業振興公社が入植者を公募して5年契約を結び、1ヘクタール当たり年約20万円で貸し出す。2008年4月に第1期の営農開始。現在は2期目、40法人・個人が農業を営んでいる。


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