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血糖値上がりにくい米粉 福岡県の試験場など開発 糖尿病、ダイエット食品へ活用探る

記者:西山忠宏

食べた後の血糖値上昇が緩やかになる特長がある「ちくし粉85号」

 福岡県農林業総合試験場は鳥越製粉(福岡市)と連携し、食後の血糖値上昇が緩やかな米粉向けの水稲「ちくし粉85号」を開発した。難消化性でんぷん(RS)を多く含み人体に吸収される糖質が少ないため、糖尿病患者やダイエット食品などへの活用が期待される。試験場によるとRSを多く含むコメは他にもあるが、課題だった収量の少なさを初めて克服した。今年、福岡県内で栽培を開始、実用化を目指す。

 試験場などによると85号は、一般的なコメにはほとんど含まれないRSの含有率が約17%に達する。健康な成人6人を対象にした試験では、85号を使ったビスケットを食べた後の血糖値の上昇は約20(血液1デシリットル当たりミリグラム)と、主食用米の「ヒノヒカリ」製の半分程度にとどまった。味わいも上々だったという。小麦粉との比較は行っていないが、試験場は「小麦もRSをほとんど含まないので、血糖値上昇は85号の方が緩やかなのではないか」と期待する。

 85号は炊くとぱさつき感があるため、主食用ではなく米粉としての活用を想定している。

 85号は人工交配などにより10年以上かけて開発し、収量は10アール当たり約470キロと、一般のコメと同水準。これまでに作付けされたRSを多く含む品種は、いずれも収量が一般の6〜8割程度にとどまっていたという。

 研究で収穫した85号は鳥越製粉が米粉に加工。本年度内にビスケットなどとして医療関係者や一般消費者に試食してもらい、需要見通しを探る。その上で県内農家に今年の作付けを提案する方針だ。

 国は需要が年々減っている主食用米の価格安定や水田維持の観点から、交付金を出して米粉用米への転作を誘導している。試験場農産部の田中浩平部長は「85号の魅力が浸透して需要が高まり、農家の収入増につながる作物になれば」と期待する。

   ◇   ◇

患者の間食に可能性

 福岡市中央区で診療所を開く三村和郎さん(糖尿病専門医)の話 糖尿病は高血糖によっても合併症が進行するので、「ちくし粉85号」を使った食品は患者向けの間食として活用できるのではないか。また難消化性でんぷん(RS)は腸内でほとんど吸収されない上、脂質を包み込んで排せつする性質もあるため、ダイエット食品としても使える可能性がある。ただ、健康効果が期待できる食品として普及するかは値段や味の要素も大きい。



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