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面接解禁の6月1日 福岡の大学4年生はどこにいる? 就活”地元志向”の実態は…

記者:佐藤渉(フリー編集者)
福岡スタイル

合同説明会の会場に向かうスーツ姿の女性たち。「売り手市場」の中、就職活動は一部ですでに佳境に入っている=5月29日、福岡市・天神

 「6月1日の午前10時、あなたはどこにいますか?」

 就職活動中の大学4年生にとって、この問いが持つ意味は小さくない。

 6月1日は、経団連が提唱する採用面接の解禁日。大企業の多くがこの日の午前中から面接を行う。一方、学生にとって、解禁日の朝一番の面接に参加することは、その企業に少なからず「御社が第一志望です」という熱意を伝えることになる。

 経団連に加盟していない外資系や中小企業には、前倒しの選考活動を行っている所もある。6月1日以前に内々定を出している場合もあるが、他社への流出を防ぎ学生を囲い込むため、あえてこの日に内定承諾面談を行うケースも。6月1日は、企業と学生の思惑が交錯する、就職活動のターニングポイントだ。

 福岡出身者は全国屈指の「地元好き」として知られる。ただ就活生に関しては、この日のこの時間に福岡にいるかというと、そうとも限らないようだ。実はかなりの人数が、東京方面にいるのでは…。そんなことを思わせるデータがある。

 福岡大学(福岡市)の2017年度「企業地域別就職状況」によると、就職が決まった学生3372人のうち1050人(32.6%)が関東に本社を置く企業に就職した。福岡市で就職した995人(30.8%)を抜いて最多だった。福岡大学の学生は、地元よりも関東の会社を多く選んでいるのだ。九州大学の2016年度卒業生の主な就職先も、民間では東京本社の企業が目立つ。

 人口が今も増え続け、「日本一元気な地方都市」として脚光を浴び続ける福岡。しかし就職のために上京する若者は依然多い。彼らはなぜ地元を離れるのか。東京で就職した人、福岡に残った人、それぞれに話を聞いてみると、揺れ動く心が見えてきた。

「漠然とした不安あった」

 「去年の6月1日は東京で、第一志望の企業の面接を受けていました」

 そう語るのは、今年、九州大学教育学部を卒業した和田静華さん(23)。3年生の3月から始めた就活でエントリーしたのは大手の保険会社と銀行のみだった。
 
 「新卒だから、とりあえず大きい会社に入っておけば間違いないだろうと思って。中でもカタい金融系の企業を4社受けて、最初に内定をもらった生命保険会社に就職しました。東京の大企業に行って私に何ができるのか、正直よくわかってなかったけど、漠然とした将来への不安を解消できる気がしたんです」

 リクルートワークス研究所によると、2019年3月卒業の学生を対象とした大卒求人倍率は、従業員5000人以上の企業が0.37倍と過去最低だったのに対し、300人未満の企業では過去最高の9.91倍に。学生たちの大企業志向は色濃くなっている。

 しかし、生命保険の法人営業は、数字がすべての厳しい世界だ。和田さんの会社でも、新卒で入社した営業職のうち半数が、1年以内に辞めていくという。そうして和田さんも、肉体的にも精神的にも限界を感じて、2年目を迎えて間もない今年5月、退職した。

 「就活の段階で、もっと自分の適性を見極めるべきだったなって思います。職場の雰囲気や業務内容って、実際に働いてみないと、結局はわからないですね」




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