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「財布よりスマホが大事」 加速する中国のキャッシュレス 趙さんの瀋陽来信(3)

記者:チョウ・イーリン氏

瀋陽の住宅街にある売店「ミルクバー」。生活に密着した場所でもQRコードが出されている

道端の焼き鳥の屋台にもQRコード。偽札を受ける心配なし、お金のやり取りもなし、勘定がよりスムーズになる

 仕事帰りに、スマホを手に取り、無料通信アプリ「Wechat(ウィチャット)」から、学生時代のクラスメートや友人などのグループで、こんな質問を投げてみた。

 「最近一次使用现金是什么时候?」
 (直近で、現金を使ったのはいつ?)

 次々と返信がきた。

 「现金?我想想,今年好像还没用过呢,去年的话,什么时候来着,对不起我忘了」
 (現金?そういえば、今年は一度も使ってないかもね。去年は忘れたよ。)

 「现金?最近都没有用啊」
 (現金?最近は全く使っていないよ)

 「现金?我都不带钱包出门了,有手机就行了!(^^)」
 (現金?財布も使わないよ、スマホがあれば十分だしね!(^^))

 全員が現金を「使っていない」。私にとっては、予想していた通りの回答だった。しかし、読者の皆さんにとっては、ちょっとした驚きではないだろうか。

 中国・瀋陽の街を歩いていると、多くのお店で「QRコード」を目にする。そこに自分のスマホをかざせば、決済完了。高級百貨店はもちろん、道端の小さな焼き鳥の屋台にもしっかりある。このモバイル決済のサービスを提供し、大きな成長を遂げているのが「支付宝(アリペイ)」と「微信支付(ウィチャットペイ)」。中国だけではなく、今や世界に進出しているサービスなのだ。

 昨年夏、出張で訪れた広東省・広州でのこと。タクシーから降りるときに、運賃を現金で渡した瞬間、ドライバーが信じられない表情をした。

 「你没有支付宝或者微信支付吗?」
 (あなた、アリペイやウィチャットペイを持っていないの?)

 「いいえ、今日は現金を使いたくて…現金はダメなんですか?」。恐る恐るドライバーに聞くと、「ダメではないけどね。みんなが現金を使わないから、お釣りをあまり持ってないんだよ」

 なるほど、スマホ決済が便利なのはよく分かる。でも裏返せば、利用する機会がないお年寄りや外国人観光客の視点に立てば「不便さ」が増しているように感じた。

◆   ◆   ◆
 中国ではここ4、5年の間、「キャッシュレス社会」が加速している。スマホ決済を中心とするモバイルペイメントが急速に普及し、中国の民間調査会社「艾瑞咨詢(iResearch)」のレポートによると、その取引規模は、2013年の1.2兆元(約19.2兆円)から2017年に98.7兆元(約1,579兆円)と82倍に。世界最大の取引規模になっているのだ。

 なぜ中国でここまでモバイル決済が浸透しているのか。そこには様々な事情がある。

 二つの重要な数字を挙げます。何の数字か想像できますか?

(1)5.32億元(約85億円)
(2)55台VS 222台




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