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思わぬトラブルも…バス運転手まで使う博多弁、驚異の浸透力

2017年03月14日 03時00分 更新

記者:吉武和彦


  • 運転手の多くが福岡県内の高校を卒業しているという西鉄バス=2017年3月6日、福岡市・天神(撮影・吉武和彦)

  • 関連商品まで登場して話題を集めた博多弁=2009年、福岡市博多区の上川端商店街

  • 博多弁を記したクリアファイルも登場したことがある=2008年

 すーすーするぅ(肌寒い)、一万円札ばこまめて(両替して)−。福岡市では日常会話に博多弁が使われることが多い。その浸透力は、時には、公共交通機関の乗務員がアナウンスで語ってしまうほど。ただ、東京や大阪の人には理解できない場合もある。意味を取り違えると、思わぬトラブルも起きかねないため、転勤や就職で福岡に転入した後は、気をつけてほしい。

 ■運転手の7割が福岡の高校卒

 「どこから乗りんしゃったとですか…」(乗ったのでしょうか)

 マイク越しに男性運転手が博多弁で優しく語りかけた。平日夜、福岡市内を走る西鉄バス車内でのこと。お年寄りの女性客がバスを降りる際、ブザーが鳴った。交通系ICカード「nimoca(ニモカ)」にエラーが発生したのだ。

 乗車時に、どこから乗ったかカードに読み込ませていなかった。戸惑う女性に運転手が語りかけながら、精算の手続きを手ほどきした。

 一部始終を見ていた40代男性会社員の乗客は「あの運転手はお年寄りの緊張を解きほぐすため、あえて博多弁でしゃべった気がする」と感心していた。

 西鉄こと西日本鉄道(福岡市)は、グループのバス保有台数が3000台弱と日本最多を誇る。同社広報によると、車内アナウンスは「標準語で統一している」というが、「ちょっとしたときに、ぽろっと方言が出ることがあるかも」。西鉄単体だけでも約2000人いるバス運転手。その7割強が福岡県内の高校を卒業している。

 ■胸ぐらをつかまれ激怒される

 柔らかく、優しいイメージの博多弁。大阪弁と比較して、女性が使えば「カワイイ」などとテレビ番組で紹介されることもある。

 ただ、意味を取り違えると、ひどい目に遭う。

 「でしょ」と「直す」。福岡市出身の斉藤寛さん(51)は、この二つの言葉に「苦い思い出がある」。仕事は、三好不動産の経営企画課長。福岡の歴史や習慣を解説する「福博講座」の講師も務める“福岡通”だ。

 東京には、大学進学や就職、転勤で通算16年間住んだ。このうち、学生時代のホテルでのアルバイトでつまずいた。

 「テーブルはここでいいんでしょ…」

 「料理はこれでいいんでしょ…」

 先輩のバイト生に指示を仰いでいた時だった。

 「テメー、何さっきからため口たたいてんだよっ」。突然、先輩から怒鳴られ、胸ぐらをつかまれたという。

 丁寧語のつもりだったが、関東出身の先輩は同級生に使う「タメ口」と受け止めたようだ。

 ホテルの社員に「このテーブルを直せ」と指示された時もそうだ。

 テーブルの脚をたたんで片付けていると、「おまえ、何やってんだよっ」とまた怒声が。福岡では「片付ける」の意味で語られることが多い「直す」は本来、「修理する」の意味。社員は「並べ直せ」の意味で使っていた。

 客を迎える前の慌ただしいホテルの現場で、テーブルをどんどん片付ける。そんな「真逆」の行動を、博多弁が生んでいた。

 

上りと下りが行き違うときは、片方が駅で待ち合わせる西鉄貝塚線=2017年3月3日、福岡市東区の名島駅(撮影・吉武和彦)
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