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日銀が大変なことになりそうだ5

2017年07月16日 03時00分 更新

記者:吉武和彦


  • 日銀本店=東京都中央区

  • 支店長会議に臨む日銀の黒田総裁(右から2人目)=2017年7月10日午前、日銀本店

  • 2013年4月、記者会見で金融緩和策について説明する日銀の黒田総裁=日銀本店

 自称、日銀ウオッチャーとして、シリーズ5回目の報告をさせていただきたい。今回のテーマは、日銀の「総資産」。ひもといていくと、重要なキーワードが浮かんでくる。

 ■負債も増えている

 総資産は、会社で言えば、現金や預金、土地、建物などすべての資産を合算したもの。トヨタ自動車なら、48兆7501億円(2017年3月期連結決算)に上る。

 日銀の場合は、保有する国債が大部分を占め、5月末に初めて500兆円を超えた。

 これは、日本の国内総生産(GDP)とほぼ同じ額という“破格”の規模だ。

 さらに、その突出ぶりは、国境をも越える。

 GDP比でみると、日銀の総資産は9割以上に相当し、2〜3割台の米国や欧州に比べ、際立つ。

 最大の要因は、大量に国債を買って市場に資金を供給する「異次元緩和」を続けているためだ。13年4月の緩和開始前に比べ、3倍以上に増えた。

 日銀は物価上昇率が目標の「2%」を安定的に超えるまで資金供給量の拡大を続けるため、これはあくまで「通過点」(大手証券)。実際、7月10日時点の営業毎旬報告をみると、総資産は502兆円を超えた。

 このまま行けば、年内にもGDPに肩を並べる可能性があるが、これは決して景気のいい話ではない。

 バランスシートをみると、その分、負債も増えているのだ。

 ■無限に湧くマネー

 その負債とは、日銀が銀行や証券会社から国債を購入する際に支払う「代金」である。

 異次元緩和で日銀が国債を買えば買うほど、「代金」は増え、日銀にある民間金融機関の当座預金に積み上がっていく。

 本来は、そこから企業の設備投資や個人消費にマネーを回し、デフレ脱却を狙ったが、資金需要は伸び悩む。

 今、当座預金の規模は約360兆円に上る。このうち、マイナス金利政策で一部(10兆〜20兆円)は0・1%の手数料を金融機関に課すが、全体の6割(約210兆円)は日銀が金融機関に0・1%の利子を払う有利子負債となっている。

 さらに、注目すべきは、日銀が払う「代金」の出所である。

 それは湯水のように湧いてくる。日銀は「日本で唯一、銀行券を発行する発券銀行」(日銀)だ。このため、「無限にお金を生み出すことができる」(大手証券)。

 こんな“打ち出の小づち”のようなことが、いつまで続けられるのか。市場からは、疑念の声が聞かれる。

  ■「円急落」の懸念も

 よく指摘されるのは、緩和をやめて総資産の規模を元に戻す「出口」が困難になる、ということだ。

 日銀は大量の国債とともに、株価指数などに連動する上場投資信託(ETF)も年6兆円ペースで買い入れている。

 そんな買い支えが寄与し、株高、債券高(金利は低下)が保たれているが、その姿は、「まるで人工呼吸器で無理やり患者を延命させているようだ」(金融ブローカー)とやゆする声もある。

 そんな「官製相場」(同)だけに、手じまいするとき、国債やETFを売るタイミングなどを誤ると、金利急騰や株価急落につながりかねない。

 金融政策に詳しい加藤出(いずる)・東短リサーチ社長は「あと3〜4年で日銀の当座預金が500兆円に増える」と予測。その上で、「出口」に向かえば、「(短期の金利が上がり、)日銀が金融機関に払う利息が国債の利息収入を上回る『逆ざや』が生じる」と予測する。

 エコノミストには、それが日銀の赤字や債務超過につながり、「円が急落し、急速な物価高を招きかねない」と懸念も聞かれる。

 ※次ページ(会員限定)は「大きな落とし穴が」

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