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福岡→鳥取という移住 「豊かさ」について考えさせられた

2018年01月14日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 福岡から鳥取に移住した西嶋利彦さん

 株価の「爆上げ」で幕を開けた2018年。年明け早々に福岡市で開かれた経済関係者の新年祝賀会は、明るいムードが充満していた。

 来賓のあいさつでは福岡市についても触れられた。2013年5月に150万人を突破した人口は、今年1月、157万人にまで増えている。まちづくりが本格化する今後も、福岡は「元気な街」であり続けるだろう。

 起業の地や移住先としても人気が高まる福岡市。その福岡市から、日本で最も人口が少なく、人口減少に歯止めがかからない鳥取県に移住した人がいる。

 西嶋利彦さん(29)。障害者が中心になって働く流通加工・組み立てなどを行う工場の仕組みの構築・運営を担う企業で、「働く障害者の工賃を3倍に上げる」ことに挑戦している。

 工賃を3倍に、とはどういうことか。

 障害者総合支援法は、一般の企業などで働くことが難しい障害者に就労の機会を提供する就労継続支援を定めている。雇用契約に基づき賃金が支給される「A型」と、雇用契約を結ばずに「工賃」という形で賃金が支払われる「B型」があり、より障害が重い人はB型を利用するケースが多い。

 その「工賃」は全国平均で毎月1万5千円程度。障害者が受け取ることができる年金を足しても、自立した生活を送るには到底足りない。

 工賃3倍の計画は鳥取県が策定した。もともと福岡で障害者就労継続支援事業所に勤めていた西嶋さんは昨年4月、プロジェクトに参加する民間企業に取締役として経営参画して移住した。

 生まれてから大学卒業、就職まですべて福岡市内。縁もゆかりもなかった鳥取移住の原点は、福祉を学んでいた大学3年、20歳のときのことだった。

 それまでは、障害がある子どもがいる母親が自分の死後を悲観するという話を「そんなことはあるわけない」と信じなかった。だが、実習で訪れた施設で軽作業する障害者の工賃は「1カ月8000円」だった。

 「自分のアルバイトは1日8000円。現実は本当に厳しい、と思い知らされた」


西嶋さんが年頭にあたって「あるべき自分」と「やりたいこと」を列挙したノート。1時間ちょっとで書いたという。記者も挑戦したが、あまりに時間がかかり断念した
福間慎一(ふくま・しんいち)<br />
福岡市生まれ。2001年に西日本新聞社に入社、文化部、長崎総局、本社報道センターなどで記者。紙面編集にも約4年間従事。16年9月からヤフーに出向、17年9月からqBiz編集長。特技は居酒屋のメニューを指1本でくるくる回すこと。
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