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「よそ者」が見た福岡の強さと課題 まちビジネス事業家・木下斉さん

2018年02月16日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 「福岡は各地から人が集まるが、居住期間は10年未満の人口が半数。街の良さがどう形成されたかは知られていない。先人の努力によるものだと感じてほしい」と話す木下斉さん

  • 明治末期の西中洲電車通り=1910(明治43)年、福岡市

 福岡の人は、福岡が好きだ。

 市の意識調査では「福岡市が好き」と答えた人が97.4%。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが全国の政令市と東京都区部の住民に実施した調査では、「愛着」「誇り」「(他人への)お勧め度合い」のいずれも福岡市がダントツだった。統計に頼らずとも、飲み屋では「福岡、いいところやろ?」と福岡愛をあふれさせる客の姿をしばしば見かける。

 そんな福岡人を、正面からくすぐるタイトルの書籍が出た。その名も<福岡が地方最強の都市になった理由>。これもよくある「福岡礼賛本」なのか――。しかし、著者の木下斉さんへのインタビューを通して、それは誤解だったことがわかった。

◇    ◇    ◇

 木下さんは東京都出身の35歳。高校時代から都内で商店会の活動に参加し、大学在学時代に「株式会社商店街ネットワーク」を立ち上げた。その後は各地で地域再生ビジネスを手掛け、熊本市では「熊本城東マネジメント株式会社」を設立。現場で成功と失敗を繰り返しながら、地域活性化の方法論を著してきた。内閣府の地域活性化伝道師も務める。

 その木下さん、なぜ福岡に注目したのか。

 福岡元気だよね、と最近、周囲で漠然とささやかれるようになりました。出版社の編集者と雑談する中で、なぜ盛り上がったのかを考えようという企画が生まれたんです。

 取り上げたのは明治以降の歴史。これには理由があったという。

 福岡の人が街を語ると、しばしば江戸以前(例えば金印の発見や鴻臚館といった歴史)までさかのぼっちゃう。それでは実感が持てなくなるので、近現代にひきつけることで、ぼやけさせずに焦点を絞ろうと。

 本の中で、福岡市の強さは「常識破り」をしながら発展してきことにある、と指摘している。どんな常識を破ってきたのかというと、▽まちづくりの主導権を民間に持たせた▽工場誘致から早々と撤退した▽市域を拡大させず、逆に開発抑制プランを打ち立てた――。近代以降の福岡が、都市開発の流行とは「逆」の手を打ってきたという。

 過去に国が主導して同じことをやらせて、それでへたったところも多い。例えば今も「地方消滅論」のようなものが出ているが、起きているのは人口の取り合いのような間違った競争です。
 一方、福岡市は路面電車も電力も、民間企業が推し進めて街の原型を作った。そして戦後、一時期は工業誘致を進めようとしたけれど、先達の北九州市の存在もあってうまくいかなかった。すると福岡市は、あっさり方針を撤回して強みの商業を伸ばすことに集中していったんです。数々の制約がある中で、知恵を絞って強い戦略を生み出したのです。


 現在の福岡の強さは過去の積み重ねにある――。その礎として挙げられているのは、街をけん引した5人の強烈な個性だ。

西鉄福岡駅と岩田屋(中央)。渡辺通りには路面電車。向こうは博多湾=1955年ごろ、福岡市・天神の西日本新聞社屋上から
福岡市の街並み(2014年3月撮影)
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