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「ここだけ」か「ファスト風土」か フラット化する料理界、地方が試される

2018年04月20日 03時00分 更新

記者:小川祥平


  • 料理の味が深まっていくお酒がそろえられていた

  • 「DREAM DUSK」に参加した本田直之さん(左から4人目)、久田和男さん(中央)、吉武広樹さん(右から3人目)、桑原Vanne秀幸さん(右端)

「ザ・ルイガンズ.スパ&リゾート」の夕食イベントに参加

 先週末、海の中道海浜公園にあるホテル「ザ・ルイガンズ.スパ&リゾート」(福岡市東区)であった夕食イベントに参加した。

 企画の名前は「DREAM DUSK」。予約の取れない国内外レストランの人気シェフ5人によるフレンチ、肉、すしなどの創作料理が並ぶ。シャンパンに始まり、赤、白、ロゼワインに日本酒と続くお酒はそれぞれの料理に合わせて(ペアリングと言うらしい)用意されていた。

 まさに「DREAM DUSK(夢の夕暮れ)」。福岡という一地方に突如として現れた都会的な空間。バブリーな雰囲気の中でおいしい料理と酒を堪能できた一方で、どこか現実感に乏しくもある私は「中央」と「地方」について考えをめぐらせていた。

 ディナーは4万円を越える価格ながら、300席(2日間)が即日完売したというから驚く。しかもその半分以上は東京から。ちなみに私が座った7人掛けの円卓では地元(福岡)から来たのは私だけで、東京、千葉が4人。奈良と佐賀が1人ずつだった。

 そもそもこの企画は、東京とハワイを拠点に世界を行き来する実業家で、食通としても知られる本田直之さんが2年前に始めた。「すし、フレンチを一つのテーブルではしごしたい」というが目的。本田さんとホテル関係者の個人的なつながりから、この会場が選ばれた。初回はほとんどが東京からの客だったという。

 東京の人を吸い寄せたテーブルだが、作り手には東京へのこだわりはあまりなかった。5人のうち九州にゆかりのある3人に話を聞くことができた。

 「すし処 ひさ田」の久田和男さんは岡山県赤磐市に店を構える。岡山市から十数キロ離れた郊外の立地にもかかわらず、全国のすし通をうならせている。

 「東京出身だけど、東京での出店はぜんぜん興味なかった」と久田さんは言う。週末のみの営業。「好きなことをしたい」と平日は福岡で暮らす。それでも商売として成立するのは「家賃が安い田舎だから」。客単価は一人2万5000円。東京、大阪など県外の客が7割を占める。

 久田さんのこだわりは「土地を大事にする」こと。今回の企画でも、瀬戸内海産のタコをかんきつ系ジュレであえた一品を出した。タコはぷりっとした歯ごたえ。その甘みをジュレの酸味と苦みが引き立てる。素材を生かしつつの繊細な味付けが光っていた。


桑原Vanne秀幸さんによる「よろにくロゼカツサンド」
小川祥平(おがわ・しょうへい) 1977年、北九州市生まれ。佐賀総局、宇佐支局、東京支社報道部などをへて現在本社文化部で文芸担当。ラーメン好きで著書に「ラーメン記者、九州をすする」
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