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「福岡は独自通貨で財源確保できる」 対談:落合陽一氏×グッドラックスリー・井上社長 縮む地方、新技術の可能性は

2018年04月27日 03時00分 更新

記者:井上直樹

 「福岡は、独自の仮想通貨やトークンを発行して財源を集めてはどうか」――。大学准教授の傍ら企業代表など幅広く活躍する落合陽一氏と、福岡市のスタートアップ「グッドラックスリー」の井上和久社長が4月中旬、東京都内で対談した。人口減が進み、社会が縮む「撤退戦」の中、新しい技術や発想が持つ可能性は――。ブロックチェーン技術を用いた自治体の財源確保や地域振興策について深められた対談の内容をお届けする。
(聞き手・井上直樹)

トークン、仮想通貨と地方


対談した落合陽一氏(右)と、グッドラックスリーの井上和久社長=4月中旬、東京都内

 ――落合さんは著書『日本再興戦略』の中で、地方自治体の「イニシャル・コイン・オファリング(仮想通貨やトークン発行による資金調達)」を提唱している。

 落合陽一氏 福岡市のスタートアップ支援に取り組む姿勢は面白い。きっとお金を出す投資家は多く、良いコミュニティーができるだろう。仮想通貨は、海外の「仮想通貨取引所」にも上場すると良いが、福岡は地理的にも韓国や中国など取引所がある国に近い。

 井上和久氏 私も、地方自治体が大きなイノベーションを起こすには、国に依存せず、地方財源を新しく生み出す仕組みが必要だと感じている。

 落合 中央に税金を集めて、地方に再分配するだけでとても間接費がかかる。福岡は街中に中国語や韓国語の標識がある。ベトナムやインドネシア、タイなどの仮想通貨を発行したい人のハブになる可能性もある。

 井上 福岡では、例えば長浜ラーメンの店にアリペイ(中国発の電子決済サービス)が入っている。他にも、ある立ち飲み店では現金を「木札」に換えて、その木札を払って飲食ができる。木札を使うことで「お金」であることをあまり感じずに人にプレゼントできるし、裏に名前を書けば誰が持っていたかも分かる。履歴が残るのは、ブロックチェーン的で面白い。
 
 落合 映画「耳をすませば」(スタジオジブリのアニメ)の図書カードみたい(笑)。

 井上 福岡は、ビジネスの付き合いがある人と家が近かったり、子どもの校区が同じだったりするが、東京は違う。人の近さは大切で、トークンによる交流やコミュニティーをつくりやすいと思う。

 ――地域通貨を作るのなら、誰が発行することになるイメージか。

 落合 僕は地方銀行と行政だと思う。「福岡県仮想通貨組合」みたいな組織をつくる。大切なのは行政が本気を出すかどうか。例えば公共工事を仮想通貨で発注するとか、あるいはエストニアみたいに税金をコインで受け取るとか。それを中央政府が地方振興として認めるかどうかではあるが。


落合氏は、「仮想通貨の投資は問題もあるが、(投資が先か収益が先かという)『ニワトリと卵』の壁を壊す資金を集めることもできる」と語る

 井上 お土産、飲食、移動などで全て「福岡コイン」が使えたらいい。期間中は何%のポイントアップみたいなメリットも付けて。僕は、例えばサッカーJ2アビスパ福岡の「アビスパコイン」があったらいいと、勝手に思っている。スポーツには試合結果があって、コインの評価もしやすい。価格の変動は、人の情動を刺激し、マネーを呼び込める。応援している飲食店でも使えたら、コインとしての価値を担保できる。

ブロックチェーンとゲーム

 井上 私たちはブロックチェーンを使ったゲームを開発している。今、ゲームで稼ぐプロはほんの一握り。一般の人もゲームをした結果が仮想通貨や電子データなどの資産として残るようにしていく。現在、豚を配合・育成するゲームを開発中です。豚のデータはブロックチェーン上に残るので、ゆくゆくは別のゲームでも使えるようにしたい。

 落合 僕は「ドラゴンクエスト」をやるんですが、ゲーム内で使われるお金は、もはや仮想通貨ですよね。仮想通貨になると、あまりお金をため込まずに使いやすくなる傾向があると思う。(仮想通貨から、さらに別の価値に変える)二重の仮想化の構想は面白い。


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対談した落合陽一氏(右)と、グッドラックスリーの井上和久社長
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