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【あなたの特命取材班】外国人就労拡大の陰で 自殺、病気…07年以降死者13人

2018年06月16日 03時00分 更新

記者:久知邦


  • 大村入国管理センターに収容中の外国人から支援者に届いた手紙。「窓もなく、外も見れなく、太陽の明かりもない」と訴えている

 外国人労働者の就労拡大、生活支援策の充実を盛り込んだ骨太方針が15日、閣議決定された。労働移民は受け入れないという建前の下、裏口から「働く外国人」を受け入れてきた日本。そのひずみは、不法滞在などをきっかけに入国管理局に長期収容されている外国人の著しい増加にも現れている。その実態とは−。

 5月、大村入国管理センター(長崎県大村市)に収容された外国人たちから特命取材班に、たどたどしい日本語の手紙が届いた。「私たちの願いはただ一つ。長期収容の問題が生んでしまった悲劇、長期収容により死にたいほど苦しんでいる現状を一刻でも早く、解決、改善を求めます」

 「悲劇」とは4月13日、東日本入国管理センター(茨城県)で起きたインド人男性の自殺を指す。長期収容を苦にしたとみられている。法務省によると、収容中の死者は2007年以降13人。5人が自殺だった。大村入管の死者はいないが、自傷行為や病気が重篤化したケースはあるという。

 17年末時点で、全国の入管に収容中の外国人は1351人。そのうち入管が「長期」とする半年以上の収容者は576人と、13年末の2倍以上に増えた。最長者は6年近くに及ぶ。

      ■

 裁判所が懲役刑などの期間を決める刑事訴訟法と異なり、入管難民法には収容期間を定めた条文がない。帰国まで収容でき、際限なく拘束される恐れもある。

 人道的配慮から拘束が解かれる「仮放免」制度もあるが、許可件数は減っている。申請件数の増加にもかかわらず、16年の1160件から17年は822件に減った。許可数の割合をみると、16年の43%から18ポイントも下がっている。

 「移住者と連帯する全国ネットワーク」(東京)の関係者は「東京五輪を前に入管が締め付けを強めている」とみる。

 これに対し、入管の担当者は、仮放免されても帰国せず、何らかの罪を犯して再収容された外国人が増えた結果、許可件数が減っていると強調する。

 仮放免されてもなお、日本にとどまる人の数は00年末時点の172人から、16年末には3555人と約20倍に膨らんだ。仮放免はあくまで送還までの準備期間だが、「『仮放免になれば帰国しなくていい』との誤った認識が広がり、就労など違法行為や犯罪に走る者がいる」という。

 入管は強制的に送還手続きも行っているが、難民認定申請中だったり、審査結果に対して裁判を起こしていたりするとそれもできない。「再収容者で、かつ裁判中などでどうにもできない人が増えている」と収容長期化の理由を説明した。

      ■

 なぜ帰国を拒むのだろう。移住連などによると、理由は主に三つ。家族が日本におり生活基盤が母国にない日系人など▽来日の際に多額の借金を抱えた途上国の技能実習生や留学生▽政治や宗教などの理由で帰国すれば迫害されるおそれがある難民−。

 バブル期の労働力として1990年に受け入れを拡大した日系人は、雇用の調整弁として扱われた。生活者という視点を欠いた政策は、日本語も母国語も十分にできない3世、4世も生み出している。国際貢献を建前にした途上国からの「技能実習生」「留学生」は、労働力として使われてきた。

 支援に関わる稲森幸一弁護士(福岡市)は「日本のルールを守れなかったから自業自得と切り捨てるのは簡単だが、圧倒的な経済格差がある中で、彼らは働きに来る。労働者の権利を制限し、生活者として見てこなかったしわ寄せが長期収容に現れている」と話す。

 新しい在留資格の創設や「共生」施策の充実によって改善するのか。大村入管に収容中の中国人は、取材班に電話で訴えた。「私たちにも人権ありますよ。日本人は現状をどう思いますか」

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