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大渇水から40年、節水進む福岡 屈指の漏水対策、再生水義務付け、近隣市町に水源

2018年06月29日 03時00分 更新

記者:前田倫之


  • 40年前の大渇水では、給水車に大勢の人が列をつくった=1978年6月、福岡市・下山門

  • 大渇水の翌年から続く曲渕水源祭。出席者は豊水を願い、ダムに酒をまいた=1日、福岡市早良区

 福岡都市圏が深刻な水不足に陥った1978年の「福岡大渇水」から、今年で40年になる。この間、福岡市は水源を増やしながら節水都市づくりを進めた。市民を巻き込んだ取り組みで、住民1人当たりの水道使用量は全国の政令市で最も少ない。長崎県佐世保市など九州の他都市も苦しんできた水不足。都市の成長を制約しかねない課題を乗り越え、海外からも評価される水道システムを構築した福岡市だが、インフラの老朽化や渇水体験の風化といった新たな状況にも直面する。

 福岡市早良区の曲渕ダムで1日、大渇水の翌年から続く水源祭があった。「豊水」を祈願する儀式で高島宗一郎市長は「異常渇水は天からの教訓。水の安定供給へ一層努力したい」と神妙な面持ちで語った。

 大渇水後、福岡市は近隣市町とつくった水道企業団で計画的に水源開発を進めた。83年に筑後川から取水を始め、2005年には海水を淡水化する施設が東区奈多に完成した。

 取水するダム8カ所のうち、5カ所は福岡県朝倉市や糸島市など市外にある。18年3月には隣の同県那珂川町に五ケ山ダムが完成した。このダムの配水量は、2度目の渇水となった1994年に必要とされた1日平均水量の218日分に相当する。「渇水に備えた大きな保険」(市水道局)は18年度中にも供用開始となる見通しだ。

 大切な水を漏らさない設備も整えた。浄水場と家庭を結ぶ水道管の水圧、水流の調整は24時間体制で行われ、漏水抑止効果は1日4千〜5千立方メートル。配水量から漏水量を除いた2016年度の有効率は全国屈指の97・8%だ。こうした技術は海外でも高く評価され、ミャンマーなど14カ国へ延べ140人以上の職員を派遣している。

 雑排水の再生水利用も全国に先駆けて導入。一定規模以上の商業施設や事業所は、トイレや水まきに再生水を使うよう条例で義務付けた。

   ■    ■

 福岡市は政令市で唯一、1級河川がない。ダムや長距離の導水管敷設に伴う多額の設備投資が必要なため、水道事業財政は厳しい。16年度の企業債残高は1231億円で、年間の水道料金収入の4倍近い。このため法定耐用年数の40年を迎える水道管は「一気に取り換えることはできない」(市水道局)という。

 厳しい懐事情は市民負担に跳ね返る。福岡市の水道料金は、一部の水道供給が県事業の千葉市を除く19政令市で札幌、仙台、さいたま、京都に次ぐ5番目の高さ。家族2人相当の月額料金(税込み)は北九州市1501円、熊本市1863円だが、福岡市は1938円に上る。

 40年で2度の渇水を経験した市民の節水意識は高い。16年度の1日の住民1人当たり水使用量は政令市で最も少ない198リットル。北九州市は220リットル、熊本市は207リットルだった。

 懸念されるのは大渇水の記憶の低下だ。15年の市民意識調査によると、節水を心掛けている割合は60代以上で9割を超えるが、30代は8割、20代では7割程度に下がる。市水道局は「水不足を経験していない世代を中心に、水が出るのは当たり前という意識があるのではないか」と指摘。13年度から小学校で節水を促す授業を行っている。

福岡大渇水 1978年は観測史上5番目(当時)の小雨で、福岡都市圏で干上がるダムが続出。5月20日に始まった福岡市の給水制限は79年3月まで287日間に及んだ。給水車に市民の列ができ、食器が洗えずにパン食にする人が増えた。学校のプール授業は中止に。市外へ一時的に転居する家庭もあった。94年の渇水は給水制限日数が295日に及んだが、ダムなどの水源が開発されたことで、給水制限時間は78年より短かった。
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