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元記者ピロシの醤油屋今日談

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猛暑に募るイライラ… 多発するミスは何のせい? 醤油屋今日談(16)

2018年08月10日 03時00分 更新

記者:川崎弘氏


  • 猛暑を受けて製造回数が増えているラムネ。配管に穴が空いて炭酸ガスが漏れ出した時は、大量に欠品が出る恐怖が頭をよぎりました

  • 川崎弘(かわさき・ひろし)氏
    1980年、佐賀市生まれ。2003〜17年、西日本新聞の記者として事件、経済分野などの取材・執筆を手掛ける。17年10月、妻の実家である大分県日田市の醤油・味噌製造会社「まるはら」に転職。14年ぶりに新入社員に。ロック、カレー、日本酒好き。



 40度超えが相次ぐ猛暑列島ニッポン。例年、夏場に全国最高気温を記録することが多い日田だが、今年は多治見(岐阜県)、館林(群馬県)、熊谷(埼玉県)などの「ライバル」に水をあけられている(そこで競わなくても、と言われればそれまでだが・・・)。

 とはいえ、午後には37度を超える日が続いている。食品工場ということで長袖、長ズボン、帽子、マスクといういでたちなので、少し体を動かすだけで汗だくになる。気持ちに余裕がないからか、ちょっとしたことでもイライラが募りやすい。そんな環境だからなのか、最近ミスやトラブルをよく引き起こす。

【7月27日】醤油のペットボトルにラベルを張る機械を操作中、糊の容器にラベルが巻き付く。作業の遅れ約15分。

【7月31日】ラムネの製造中、炭酸ガスのボンベを交換している際に、ガスの配管に穴があき、作業が2時間弱中断。

【8月2日】圧力釜で大豆を煮る作業で、火力の調整を誤り一部を焦がす。作業をやり直し、4時間のロス。

 暑さで無意識のうちに仕事が粗くなっているのか、なぜかうまくいかない。トラブルやミスは、翌日の朝礼で報告しなければならない。わが社では、ミスが明らかな場合、ペナルティーとして100円を募金箱に入れるルールもあるので、なんとも気まずい。
 
 原因が分からないことも多いが、最近、分かってきたのは、同じ動きを繰り返しているように見える機械や器具も、常に完全に一定ではないということだ。うちの場合は、30年以上になる古い機械が多いので、特にその傾向が強いのかもしれない。

 例えば、豆を煮た時、同じ作業を2回したうち、後の方で失敗した。マニュアル通りに火力を調整をしていたのだが、2回目だけなぜか火が強くなっていたようなのだ。

 所詮、マニュアルはマニュアルでしかなく、失敗しやすい場面を事前に把握した上でリスクを回避することを考えていなくては、一人前と言えないのだろう。こういうリスクは無数にあり、経験を積みながら覚えていくしかない。

 また、マニュアルにはなぜそう書かれているのか、という点まで理解していないと、突発的な事態に臨機応変に対応ができないことも痛感する。
 
 何らかの理由で機械や器具が正常に動いてくれない場合、先に進んでいいのか、ダメなのか、別の方法があるのか、ないのか…など難しい選択を迫られる。その際の判断基準は、なぜその作業をしているのかに遡って考えることが多い。

 AIではないので、すべての理屈や理由を把握するのは不可能だが、ここもやはり経験が物をいう部分である。

 と、ここまで書いていて気付いた。僕が最近イライラしやすいのは、夏の暑さではなく、経験が乏しい自分の不甲斐なさにこそ原因があるのではないか、と。

 こればっかりはすぐにどうなるものでもないので、イライラせずに長い目で向き合っていくしかなさそうである。

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