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元記者ピロシの醤油屋今日談

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プラスチックフリーと中小企業の悩み 醤油屋今日談(18)

2018年09月07日 03時00分 更新

記者:川崎弘氏


  • 醤油の充填を待つペットボトルの列。いずれ日本でも使えなくなる日か来るのか?

  • 川崎弘(かわさき・ひろし)氏
    1980年、佐賀市生まれ。2003〜17年、西日本新聞の記者として事件、経済分野などの取材・執筆を手掛ける。17年10月、妻の実家である大分県日田市の醤油・味噌製造会社「まるはら」に転職。14年ぶりに新入社員に。ロック、カレー、日本酒好き。



 前回、頭が痛い問題について書いたら、いろんな感想をいただいた。事実をストレートに書けなかったのは忸怩たる思いだが、背中を押してくれる方が多く、嬉しいやら、申し訳ないやら。いつの日か落とし前をつけて、この場でご報告したいと思います。

 秋の足音が聞こえてきた今日この頃。うちの会社では、細々とではあるが、柚子の果汁が入ったポン酢をオランダ向けに出荷している。品のある柚子の香りが食欲をそそり、鍋からサラダ、豆腐などに幅広く使えるため、普段からファンが多い商品だ。

 ただ、海外の食卓に浸透している醤油ではなく、ポン酢が海を渡っていると最初に聞いた時は驚いた。

 貿易会社が間に入っているので、どんな方が購入されているのか分からないが、数カ月おきに定期的に注文が入るので、一定のニーズがあるのだろう。うちみたいな田舎の中小企業には励みになることこの上ない。

 ただ最近気になっているのは、欧州で、環境保護の観点からプラスチック容器の使用を規制する動きが広がっていることだ。ポン酢の容器はペットボトルなので、いずれ使えなくなるかもしれない。

 規制の背景には、大量のプラスチックごみが捨てられ、海を漂流する間に魚や海鳥がのみ込むケースが相次いでいることがある。ネット上には、プラスチックのバンドが首に絡まったアザラシや、胴体を締め付けられたウミガメの写真が拡散している。

 EU加盟国の間では、すでに使い捨てプラスチック製品の使用を禁じる法整備が検討されている。企業サイドでも、米国のコーヒーチェーン大手のスターバックスは、2020年までに世界中の店舗でプラスチック製ストローをなくす方針だ。日本でも、ファミレスのすかいらーくが東京五輪までに利用をやめるという。オランダでは、石油が原料のプラスチック包装を使っていないことを売りにするスーパーまで登場したらしい。

 海を漂流するごみの問題は今に始まったことではないし、そもそも海や川にごみを捨てるのが悪いのでは?というツッコミはさておき、「プラスチックフリー」はまだまだ広まりそうな雲行きだ。
 
 今のところ、お取引先様からの要望は来ていないが、もしペットボトル容器の変更を求められたら、どうすればいいか。ガラス瓶は割れるリスクがあり、重量もかさむため、輸出品には使いにくい。牛乳のような紙パックは、使った経験がなく、品質保持やコスト面で検討が必要だ。

 ベルギーに赴任中の新聞記者の友人に聞いてみると「すぐにペットボトルが規制されるわけではないにせよ、日本のポン酢を買う人は環境問題への関心が高く、早めに動けばPR効果が期待できるはず」という貴重な情報を教えてくれた。もしかすると、ビジネスチャンスが眠っているのかも。さぁ、いざ行動だ。

 と、一瞬思ったが、現実にはポン酢の生産量に占める輸出分の割合は小さく、すぐに容器を変える必然性は低い。社内で提案してみようかとも思ったが、容器を変更する労力を考えれば、浮いた感じになるのが目に見えている…。

 かくして、何も変わらない我が社の製品。世の中の変化に対応するって、口で言うほど簡単じゃないと痛感している。


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