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【あなたの特命取材班】年賀はがきノルマ廃止 日本郵便、自腹営業根絶へ

2018年09月14日 03時00分 更新

記者:宮崎拓朗


  • 2019年用年賀はがきの販売方針について、郵便局員に示された内部文書(画像の一部を加工しています)

 日本郵便は2019年用の年賀はがきについて、「過剰なノルマ」との批判があった販売枚数の「指標」を廃止する方針であることが分かった。年賀はがきは、会員制交流サイト(SNS)が普及した影響もあって購入者が年々減少。指標の枚数が販売できず、局員が自腹で購入して金券ショップに持ち込むなどの不適正な行為が横行し、長年問題になっていた。

 複数の関係者によると、同社が局員向けに作成した「社長メッセージ」と題する内部文書には、自腹営業が根絶できない理由について「『上司などからの過大な指標達成圧力』などの声もある」として「社員を大事にする会社としてあってはならない」と記載。別の文書では、見直し策として19年用年賀はがきの販売指標を設定しないと明記している。年賀はがきを利用したダイレクトメールなど企業向けの営業に関しては、新規需要が期待できることから引き続き指標を設定するとした。企業向けは全体の4分の1程度だという。

 これまで同社は前年の販売枚数などを基に指標を設定、各郵便局が10人ほどの班ごとに割り振って営業してきた。一部の郵便局ではさらに個人ごとにノルマが課され、さばききれない局員が自身で購入して金券ショップに持ち込んだり、値引き販売したりする不適正営業が続いてきたという。

 18年用の年賀はがきの販売指標は27億6千万枚。約26億5千万枚を販売したが、実際に配達されたのは約20億6千万枚だった。販売と配達の差の約5億9千万枚には、局員の自腹購入分が含まれるとみられる。

 同社は西日本新聞の取材に「詳細は控えるが、これまでも指標については常に見直しを図ってきており、方針転換があったとは考えていない」としている。

   ◇   ◇

郵便局員は半信半疑 掛け声倒れを懸念 

 日本郵便の年賀はがき「販売指標」廃止の方針について、九州の郵便局員の間では「自腹購入してでもノルマ達成を求めるような社内の空気を改善してほしい」と期待する声が出る一方、「廃止は表向きで現場は何も変わらないのではないか」との不信感も根強い。

 指標は年賀状だけでなく、暑中見舞い用はがき「かもめ〜る」にも設定されている。特命取材班には8月上旬、九州の局員から「毎年、かもめ〜るの販売ノルマに苦しんでいる」とのメールが届いていた。

 本紙が8月31日付でノルマの実態を報じると、取材班には「かもめ〜るだけでなく、年賀状や食品、保険の販売で年中過大なノルマが課されている」「知り合いの局員から毎年、必要以上の年賀状購入を頼まれ、仕方なく買っているが余って捨てている」といった声が相次いで寄せられた。福岡県内のある男性局員は「年賀状は主力商品だから、もちろん営業の努力はするが、必要とされていない分まで売れと言われてもどうしようもない。自腹営業を黙認するような文化はなくなってほしい」と話した。

 一方、九州の他の郵便局では年賀はがきの指標の廃止方針が示された後も、生命保険の営業について「圧倒的努力で行動を! 業務終了後、顧客宅を訪問するように」などと書かれた文書が回覧されたという。この郵便局の男性局員は「これまでも上層部からは自腹営業の根絶などの指示が出されたが、現場の管理職の意識は変わらなかった。企業向けの指標は残るし、何かが変わるとは思えない」とため息を漏らした。

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