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名水が育む上品な味 佐賀・小城の鯉料理を満喫 清流にさらし、臭みなし

2018年09月20日 13時29分 更新

記者:穴井友梨


  • さばいたコイを厚さ1センチほどの薄切りにする料理人

  • 「清水屋」では、洗いやコイこくなどのセットが味わえる

  • 清水屋の4代目江口等さん(右)と養殖業の広松正道さん。2人の後ろのいけすでコイが泳ぐ

  • コイ料理店の近くにある清水の滝

 呼子のイカに太良の竹崎カニ、有明海のムツゴロウ…佐賀県には魚介の名物が多い。そのラインアップに、海の魚に交じって名を連ねる川魚がある。小城市小城町の松尾地区を中心に食べられるコイだ。同市のコイは川魚で気になりがちな臭みがなくおいしいとされるが、その秘訣(ひけつ)は何だろう。小城名物・清水のコイ料理の魅力に迫るべく、山あいの里を訪ねた。

 コイ料理店が立ち並ぶ通りから、山の方の遊歩道へ入って歩くこと約10分。高さ75メートル、幅13メートルの壮大な滝が見えてくる。環境省の名水百選に選定されている清水川の上流に位置する清水の滝。豊かで清らかな水流だ。

 同地区のコイ料理の始まりには諸説あるが、明治時代、滝近くの清水観音へ多く訪れていた参拝者向けに、旅籠(はたご)として「深松屋」「滝見屋」「清水屋」が開業してコイ料理を振る舞ったのが最初とされる。

 現在は地区の「小城市清水鯉料理振興会」に7軒が加盟。流水で脂を落とした刺し身「洗い」やコイこく(みそ汁)が味わえる。

 老舗のうちの1軒で、振興会の副会長を務める「清水屋」を訪ねた。4代目の江口等さん(69)と、地区の料理店へコイを毎週運んでくる「広松養魚場」(福岡県筑紫野市)専務取締役の広松正道さん(60)にコイのおいしさの理由を問うと、2人は「名水百選の水のおかげ」と声をそろえた。

    ◇   ◇    

 コイは養魚場で卵から1〜2キロくらいまで成育。広松さんは「養殖は流水式が主力で、臭みはあまりない」と胸を張る。コイは小城に届くといけすに入れられ、泥など不純物を抜くため餌を与えず、清水川から引き込んだ清流に20日〜1カ月ほどさらす。江口さんは「水の中で運動すると筋肉質になり、身が締まる」と語る。

 良いコイに仕上げるには、水の管理が特に重要という。水を引く川に落ち葉がたまれば、たとえ極寒の中でも腰まで水に漬かって清掃する。いけすに空気を含ませるため、常に水の循環に気を配るのはもちろん、水深や水量の調整にも細心の注意が必要で、料理人の経験や技が問われる。

 水質の良さは、そのままコイの肉質の良さに直結する。良質な水が大量にある小城でしばらく泳がせることで、おいしいコイになるという。江口さんは「おいしさの半分は素材のよさ、半分は料理人の腕だ」と話す。

 その調理を見せてもらった。いけすからコイを揚げ、すぐに締めて頭を落とす。「皮や浮袋も食べられます」などと説明を交えながら、内臓を出して三枚におろすまで、わずか2分ほど。繁忙期の夏季は1日に150匹ほどを調理することもある。1ミリほどに薄切りした身を流水で締めて脂を落とす「洗い」の作業も手際よく、丁寧に行っていた。こりこりとした食感を出すポイントとなる作業だ。

    ◇   ◇    

 清水屋では洗いとコイこく、ご飯などが一人前2106円で楽しめる。食べてみると、洗いは歯ごたえがよく上品な味わい。ほんのり甘い酢みそが淡泊なコイの身によく合う。骨からしみ出たうま味が卵や浮袋、タマネギに絡んだコイこくも絶品だ。

 清水の清流が育んだコイ。一年中食べられるが、秋口からは越冬のため栄養を蓄えてさらにおいしくなるといい、肌寒くなるこれからの季節にもぴったりだ。

 江口さんは「店ごとにメニューやこだわりは全て違うが、清水のコイならおいしさに間違いはない。お客さんそれぞれにお気に入りの店を見つけてほしい」と話している。

 料理店のある清水の滝近くまでは、長崎自動車道小城スマートインターチェンジから車で約5分。小城市観光協会=0952(72)7423。 

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