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天ぷら「ひらお」が進む道 無料いかの塩辛、完全復活へ一歩 福岡のソウルフードを育てた“クレーム”

2018年09月27日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 天神アクロス福岡店の内覧会で揚げたてを提供する「ひらお」のスタッフ

  • 無料サービスの完全復活を目指すいかの塩辛

 福岡のソウルフードとして親しまれてきた「天麩羅(てんぷら)処ひらお」で無料提供される自家製「いかの塩辛」が帰ってくる。スルメイカの不漁のあおりを受けて6月に提供が休止。その影響は「予想以上だった」と店舗を展開する「ひらお」(福岡市)の青柳正典社長は驚きを隠さない。ただ、今回の再開は1店舗のみで期間も限定。同社は、「主役を超える脇役」とも称される塩辛の“完全復活”を目指す。

影響は「想像以上だった」

 同社によると、「ひらお」の既存6店舗で販売と無料提供向けの塩辛に必要なイカは一日400キロ、1カ月で約12トン。しかし不漁でスルメイカの価格が高騰、必要量を確保できなくなり、提供と販売のサービスを休止した。
※27日午後5時11分訂正:「1.2トン」ではなく「12トン」でした

 その後、北海道産のスルメイカを8000キロを確保、9月9日に販売を再開した。無料サービスは、10月3日に開店する天神アクロス福岡店で10月末まで限定再開。イカの入荷に不安があるためまだ全店舗では難しく、この先も予断を許さない。

 「空腹の人が来て最初に口に入れるのが塩辛。だから優しい味に」と内臓を使わず塩分を控え、ユズの風味を効かせたのが特徴。「ふんわりした食感にこだわっている」というその味は「主役級の脇役」と言われ、6月のサービス休止時には惜しむ声が相次いだ。

 その影響は、実際の数字にも表れた。「お客さんが2割減った。多少の影響は予想していたが、これほどとは…。うちは天ぷら専門店なのに」と青柳さん。無料サービス休止後、そのことを知らずに入った客から「返金しろ」と求められたこともあったとか。

 再開する塩辛に使うのは北海道産のスルメイカで、「本来は柔らかい福岡のイカを使う」という。青柳さんは「よく来てくださるお客さんからすると『味が違う』と言われかねない」と心配する。

クレームに育てられて

 ひらおは1978年、青柳さんの父の河内健次郎さん(故人)が福岡市博多区東平尾に、「ドライブインひらお」を開いたのが始まり。当初は天ぷらだけでなく、定食やラーメンも出していた。

 屋号は人名でも、西鉄天神大牟田線沿線の「平尾」(中央区)でもなく、福岡空港に近いこの地名に由来する。

 青柳さんによると、東平尾の人々は自分たちの地域を「ひらお」と呼んでおり、親しまれる店になるために、健次郎さんが「東」を外したその呼び名を冠した。翌79年、ドライブインから業態を天ぷらに統一し「天ぷらのひらお」としてスタートした。

 地道に店舗を増やす中で、大事にしてきたのは「クレーム」だという。

 交通量の多い幹線沿いに展開してきた「ひらお」。忙しい仕事の合間を縫い、空腹を抱えて店に飛び込む客の中には、少し気の荒い人もいる。そんな客たちの指摘は時に厳しい。例えば…。



福岡都市圏での直営にこだわる青柳正典社長
「天ぷら定食」と同じ大きさで看板に書かれた「いかの塩辛」。ひらおにとっては、不可欠な存在だ=貝塚店
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