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「フレイル」って何? 老いと闘い、打ち勝つ時代に

2018年09月30日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • 超高齢社会を見据え、政府のフレイル対策に焦点を当てて開かれた講演会=9月27日、福岡市中央区六本松(撮影・木村貴之)

  • 高齢者1人を支える現役世代数の変遷をイメージしたイラスト。胴上げ型と肩車型の対比はインパクトがある(講演会の資料から)

 先日、ある講演会で「フレイル」という聞き慣れない言葉を耳にした。受験生時代に英単語で見掛けたような記憶がある。英和辞書で調べると「脆(もろ)い」「虚弱な」という意味の英語「Frail」の和訳だった。近年、超高齢社会のキーワードとして注目されている言葉だそうだが、恥ずかしながら勉強不足。それって一体?

 福岡市中央区六本松の書店で開かれた講演会の演題は「教えます! 健康寿命を延ばす秘訣(ひけつ)」。事前に定義を調べると、フレイルとは「加齢とともに筋力や認知機能などが低下し、生活機能障害の危険が高まる状態」のこと。つまり「自立」と「要介護」の狭間にあり、いわば「要介護予備軍」と言える。その概念は日本老年医学会が2014年に提唱した。その翌年から厚生労働省が対策を検討し、今春にガイドラインを策定。そこで「早期発見と適切な介入(治療)や支援があれば生活機能の維持・向上は可能」とし、全国的な対策の必要性を訴えている。

 政府が対策を急ぐ背景には「平均寿命」と「健康寿命」との乖離(かいり)がある。17年の日本人の平均寿命(0歳児における平均余命の推計)は男性が81・09歳、女性は87・26歳で、ともに過去最高を更新した。一方、16年の健康寿命(自立した生活を過ごせる期間の推計)は男性72・14歳、女性74・79歳。平均寿命との差は男性が約9年、女性は約12年になった。この差こそ「不健康な状態」として要介護期間と重なり、その長さは世界トップ級だという。だからこそグレーゾーンとなるフレイル状態のうちに予防・改善が必要になるわけだ。

 講演会はこうした政府方針に沿って、知人の会社がCSR(企業の社会的責任)の一環で企画(書店は共催)。女子栄養大講師で管理栄養士の女性が講師を務めた。

 講師は、フレイルの三大要因に挙げられる(1)動作が遅くなったり転倒しやすくなったりする「身体的要因」(2)うつ病や認知症などの問題を含む「精神・心理的要因」(3)独り暮らしや経済的困窮などの「社会的要因」―を説明。とりわけ身体的要因のうち筋肉量が減り筋力が衰える状態「サルコペニア」(『筋肉減少症』を示す造語)への警戒を促し、栄養士の観点からこう述べた。

 「速く歩けて、握力が衰えないよう心掛けましょう。そのためにも肉や魚などの動物性タンパク質をしっかり食べ、筋肉を減らさないように。高齢になったら、体型はやせ気味より少しぽっちゃり目がいいですよ」


木村貴之(きむら・たかゆき)<br />
1994年から西日本新聞記者。趣味は釣りとエレキギターの手入れ。好きな映画は「椿三十郎」「八つ墓村」「ナチョ・リブレ」。音楽はレッド・ツェッペリン「貴方を愛しつづけて」、寺井尚子「ジャズ・ワルツ」、里見洋と一番星「新盛り場ブルース」
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