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成長する福岡経済 「果実」どう分け合うか 格差拡大の懸念も強く<11・18福岡市長選>

2018年11月11日 03時00分 更新

記者:黒石規之


 福岡市中央区のハローワークから出てきた女性(36)の表情はさえなかった。「なかなか自分に合う仕事はないですね…」。中小企業で働く夫の年収は約350万円。小学生と幼児の息子2人の養育費が増えて経済的な余裕がなくなり、3カ月前に「就活」を始めた。事務職が希望で何社か面接を受けたが、残業なしなど育児と両立できる勤務時間の希望がネックになり、就職先が決まらない。

 福岡労働局によると、県内の8月の有効求人倍率は1・61倍で過去最高水準。バブル期ですら1倍を割っていたが、景気回復や団塊世代の退職による人手不足で上昇が続いている。

 ただ、求人倍率は職種でばらつきがある。建設業や警備などが4〜5倍に上る一方で、女性の求職者が多い事務職は0・5倍で働きたい人の半分しか求人がない。業務のIT化や派遣社員の拡大で求人が伸びないためで、就活に苦労する女性も少なくないという。

   ◇    ◇

 市は4年前、規制緩和などで起業や雇用の促進を目指す国家戦略特区に選ばれた。特に注力するのがスタートアップ(創業)支援。世界で言えば「グーグル」「アマゾン」、国内では「ライン」「メルカリ」のように飛躍的に急成長を遂げる企業を福岡で生み育てることが狙いだ。

 市の創業支援施設「福岡グロースネクスト」(中央区)には、IT関連など創業間もない約180社が入居。ビジネスマッチングなどが頻繁に開かれ、活気にあふれている。開設1年で投資ファンドなどから入居企業19社に総額37億円の出資があり、入居企業の雇用は計約100人増えた。

 「福岡の起業ムーブメントは全国から注目されている」(ファンド関係者)と評判は上々だが、起業の世界で成功を手にできるのはほんの一握り。「東京では1社で数十億円を調達する企業もざらにある。福岡は企業の目標設定が低く、まだまだ雰囲気先行だ」(同)。

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 世界や国内の景気拡大を受け、福岡経済も全体を見れば順調に成長している。企業収益は好調が続き、市税収入は5年連続で過去最高を更新。総務省の就業構造基本調査によると、福岡市の労働者数は昨年、10年前から8万人以上増え、71万人を超えている。昨年度の給与所得者1人当たりの平均年収は452万円で6年前より2%増えた。

 一方で、非正規雇用者の割合は2007年の36%から10年たって40%になり、全国平均より高い水準にある。生活保護受給者は、高齢化やリーマン・ショックで雇用情勢が急速に悪化した影響が残り、10年前から1・5倍に増加。総務省の推計では、年収300万円未満の世帯が増加して45%を超えるなど「格差拡大」への懸念も根強い。

 全国的に「福岡は元気」と言われているが、一人一人、一社一社の置かれた状況はさまざま。成長の「果実」をさらに実らせ、広く分け合える政策実行力が問われている。

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