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ふるさと納税、国の補助金…「外貨」依存にはらむ危うさ 地元独自の経済循環模索

2019年02月21日 03時00分 更新

記者:横田理美、四宮淳平


  • 内田匡彦さんが手塩にかけて育てたバナナ。農園だけでなく町の支えにもなっている=宮崎県川南町

 税収減にあえぐ地方にとって地域外からの収益である「外貨」の獲得や補助金は垂ぜんのカンフル剤だが、過度な依存は危うさも伴う。

 南国の日光を浴びるビニールハウスにバナナの葉が生い茂っていた。宮崎県川南町。農園主の内田匡彦(35)がしみじみと語る。「ふるさと納税はホント助かる。販路の手が届かない遠方からも“注文”が入ってくるようなものだから」

 内田は2018年に就農。建設会社を営む父の一言がきっかけだ。「バナナを栽培するぞ」。古里の農地を放置できないとの思いを受け入れた。苗購入やハウスに約1億円投入。農薬不使用のバナナを「皮まで食べられる」と宣伝した。

 「ふるさと納税の返礼品に」と町から誘われたのはそんな頃。町は独自戦略で寄付額を数年で10倍の約12億円に伸ばしていた。5割を返礼品の調達に充てても、町の税収の7割に匹敵する寄付額は大きかった。

 08年に始まったふるさと納税制度は全国で争奪戦が激化していた。地元とは無関係の商品券、寄付額の7割に及ぶ豪華返礼品…。プレミアムで“客”を寄せる手法は古里を支援するという本来の趣旨からは遠く、総務省は17年、返礼品調達額を3割以下とし、昨年ついに違反すれば制度から締め出すことを打ち出した。

 5割を続けた町も昨年11月、3割に抑えた。町担当係の高山尚己(39)は内田の農園のように返礼品の恩恵を受ける多くの商工業者を目の当たりにしてきた。「国に従うしかないけれど今や町の産業の基盤ですからね」。今後の税収減、地元業者への悪影響をどう減じるか高山の悩みは深い。

      ■

 「島の生き残りに外貨は欠かせない」。東シナ海に浮かぶ長崎・五島列島。新上五島町観光商工課長の安永佳秀(54)は言う。過疎の島々は13年、国からの過疎債を主要財源に観光客限定の島共通通貨「しまとく通貨」に飛びついた。5千円で6千円分使える2割増しプレミアムが好評で町の観光消費額は1割増えた。ただ財源の裏付けとなる過疎地域自立促進特措法の期限は2年後に迫る。

 外貨獲得の財源も結局、外頼み−。通貨発行委員会事務局長の石橋哲也(64)は明かす。「2年後も継続できるかは分からない」

      ■

 外貨に依存しない地方創生。そんな試みが民間主導でかつての炭鉱の町、福岡県嘉麻市で始まっている。

 電子仮想通貨「かまコイン」。住民がスマートフォン上で現金をコインに換金、市内の買い物などに使う想定だ。開発に取り組むのは、故郷を持続可能な地域によみがえらせようと17年に設立された市民出資の株式会社「かま」。社長の有田栄公(47)が「地域の金をいかに地域で回すか」を考え、目を付けたのが地元でしか使えない地域通貨だった。

 長崎の「しまとく通貨」のような高いプレミアムはない。しかし利用者が増えれば地域が潤い、雇用が生まれ人も増える。目先の“お得感”より、人口4万人足らずまで弱った故郷を守る原資にという狙いだ。昨春行われた実証実験では理解を示す声も聞かれた。

 「別にかまコインでなくてもいい。地元にお金を落としてくれさえすれば」と有田。「大風呂敷? でも広げちょかな始まらん」 =敬称略

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