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「渡辺通り」由来の渡辺邸跡、都心の一等地に小さな森 福岡市「散策できる緑地に」

2017年12月15日 03時00分 更新

記者:前田倫之


  • 渡辺家の私邸跡で行われた地域イベントで、片付けをする住民たち。奥には、清掃に使う水を確保するためシートが張られている

  • 木々に囲まれた私邸跡の門。表札が残っている

 福岡市の「渡辺通り」の由来ともなった渡辺家の私邸跡が南区平和2丁目にある。都心の一等地にある広大な敷地には木々の自然が残り、開発ができない市の「特別緑地保全地区」に指定されている。普段は入り口の門で施錠されているが、一時は粗大ごみや家電などの不法投棄も相次いだ。こうした状況を憂慮した近隣住民たちが自主的に清掃活動に取り組み、地域の憩いの場へと姿を変えつつある。そんな様子が14日の市議会で取り上げられた。

 跡地の広さは約2万平方メートル。小さな森になっていて、都心の住宅街に潤いを与える存在になっている。門から入り、木々をくぐり抜けた山頂部には平屋の日本家屋があったが、約2年前に取り壊されて赤土の広場に変わっている。

 周辺の4町内会の住民は今年2月、「わたなべ平和の森を守る会」を結成。鍵を管理する町内会長らが日々足を運び、空き缶拾いや草刈りなどに励んでいるという。地域の子どもたちが清掃活動に加わることもあり、今月10日にはバーベキュー大会を開き、約130人が清掃にも汗を流した。

 守る会の田中正敏会長(73)は「自然の中で子どもが思いっきり遊べる環境をつくりたい。災害時の避難場所にもできるのでは」と話す。市みどり政策課は「市の維持管理だけでは限界もあり、住民が率先して清掃してくれるのはありがたい」と歓迎する。

 跡地は、「渡辺通り」の名の由来となった渡辺与八郎の息子が療養地として昭和初期に購入。その後は全く手が加えられておらず、カシ、シイなどの照葉樹が残っている。与八郎の孫で、紙与産業元会長の故渡辺与三郎氏は1992年、「先祖代々、福岡市にお世話になった」と敷地南側の約1万平方メートルを市に寄付。当時、時価30億円相当とされ、「市始まって以来の高額寄付」と話題になった。

 北半分の1万平方メートルは私邸として使われていたが、市は2017年度までに約1800平方メートルを3億円で買収し、残りは渡辺家から借地して管理している。

 14日の市議会一般質問で、富永周行市議(維新)は今後の跡地活用策を質問。市は「市民が散策や休憩ができる緑地としての整備を検討したい」と答弁した。

 清掃に必要な水の確保への質疑もあった。現在は水道がなく、住民が雨水をためて清掃用具などを洗浄している。市は「水道設備の設置は、今後の活動状況を見ながら検討したい」と述べた。










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