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「大きいことはいいこと」か 今後のまちづくり、鍵は”価値観の転換”

2018年01月27日 03時00分 更新

記者:石田剛


  • 「地方都市再生を考える」と題して都市再生機構(UR)が22日に福岡市で開いたシンポジウム

  • 馬場正尊さん

  • 嶋田洋平さん

  • 中島直人さん

 あの頃の活気を、もう一度――。そう願いながら実現策を模索している街は、あちこちにあるだろう。「地方都市再生を考える」と題して都市再生機構(UR)が22日に福岡市で開いたシンポジウムでは、主催のURや後援の国土交通省への痛烈な皮肉も噴出。今後のまちづくりを考えるヒントがちりばめられていた。その鍵は「価値観の転換」だ。

 シンポジウムの肝になった「新しい時代の再開発はありえるか?!」と題したパネル討論を詳報する。

◇   ◇   ◇

 登壇したのは、まちづくりの最前線で活動する3人。
・家屋やビルのリノベーションを数多く手掛ける建築家の馬場正尊さん(49)
・北九州市・小倉魚町など各地で空き店舗の再生事業に携わる嶋田洋平さん(41)
・東京の大規模団地で活性化事業にも取り組んでいる東京大准教授(都市計画)の中島直人さん(41)


「ミクストユーズ」という形
 口火を切ったのは馬場さん。相反するように論じられることもある「再開発」と「リノベーション」について、「どちらも都市を再生するための選択肢」と理解を示した。まちの規模や使える予算に応じて、合理的に選んでいくべきだと問題提起した。

 実は、パネル討論の前に事例報告をしたURが取り上げたのは、大火で市街地が焼失した福岡県飯塚市や、熊本地震の被災地などいわゆる「再開発」型の事業だった。馬場さんは「更地から再開発できる自治体がどれだけあるのか。そんな体力もなく、投資もできないからリノベーションを選んでいる」と語る。

 その上で、高層・高容積率の建築物を重視したり、用途別にエリアを区切ったりする従来の開発手法が「時代のニーズに合っていない」と疑問視。それに対する例として、商業、住居、ホテルなどが混在したビルが集まってにぎわいを生んでいる米国・ポートランドを挙げて「低層、低容積、ミクストユーズ(多様な利用目的)への価値観の転換が起こっている」と指摘した。

 さらに厳しい指摘をしたのは嶋田さんだ。薬物使用の防止を呼び掛ける映像を模したスライドで「補助金は確実に、無残に人を破壊します。補助金やめますか、それとも人間やめますか」と問いかけた。

 嶋田さんの指摘はこうだ。

 無計画な再開発事業は、周辺エリアの不動産価値の低下も招く。もしそれが行政主体の事業だったら、公金を使って地域の衰退を後押ししている形になる。地方自治法には「地方公共団体は、(中略)最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」(第2条14項)と明記されていることを紹介し、「採算のとれない再開発は犯罪」とまで言い切った。

 中島さんは、これまでのまちづくりは行政や大企業が資本を投下して進める手法が中心だったが、近年は多様な担い手が関わるようになったと説明。まち「運営」の在り方がより重要とした。

 その一例として挙げたのがニューヨーク。にぎわいのある中心地以外でも、それぞれの地域で、事業者と行政の支援を受けた専門家組織が協力して、公共空間の有効利用策をに実践しているという。


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シンポジウムの肝になったのは「新しい時代の再開発はありえるか?!」というテーマのディスカッションだった









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