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世紀末…「ごりょんさん・玉屋」との別れ、そして西鉄ソラリア計画の完成 福岡流通戦争モノ語り(5)

2019年02月20日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • バラで彩られた福岡玉屋のかぶりモノ。川端商店街をはじめ、博多の街と人に愛された74年だった。廃業後に、玉屋跡に開業した商業施設「ゲイツ」も開業からもう10年超。中洲の風景になっている

  • 1951年、福岡玉屋デパート屋上の動物園で暑さにうだって行水するゾウと、水をかける子どもたちの笑顔

  • ゲイツの入り口にあるライト。玉屋で使われていた物が引き継がれているという



 1000年代最後の年、1999(平成11)年。福岡は新たなミレニアムを目前に、大きな節目を迎えた。1925年に創業し、昭和初期の流通戦争「エピソード0」で新参者の岩田屋を迎え撃った老舗中の老舗、福岡玉屋がその夏、74年の歴史に幕を降ろした。

 (ギンギラ太陽’s・大塚ムネトさん)閉店前の玉屋に、取材で何度か行きました。全フロアーを観察して、最後に店内のカフェで取材メモをまとめる。このカフェがまた良い味を出してました。年季の入った木の床に、テーブルには真っ赤なバラの一輪挿しが飾ってあったんです。「さすが、気品のある老舗女性ビル」だなと感心しました。  

 (大塚)大正14年に創業した玉屋は、「博多の名所」として絵ハガキになるなど、地元の大人気百貨店として、博多の商業を支えました。そして、戦中戦後の苦しい時代も、博多のためにがんばってくれたんです。

 太平洋戦争中の福岡大空襲で甚大な被害を受けた博多の街に建つ玉屋は1949年12月、「子どもたちに夢を」と屋上に動物園を開設した。最初はウサギと亀などの小動物。人気を博し、カンガルーやワニ、そしてゾウまでやってきた。

 (大塚)かつて東公園に動物園がありましたが、空襲で逃げないようにとゾウが殺処分されていました。そこで玉屋は、子どもたちのためにタイからゾウを輸入し、屋上に動物園を作ったんです。博多港にゾウが到着したときは、港から玉屋までの沿道に喜ぶ子どもが集まったそうです。子どものために動物園を作り、大人のためには、店内に映画館をつくって娯楽を提供しました。焼け出された博多の人たちを、玉屋が励ましたんです。

 昔ながらのスタイルで親しまれた玉屋。平成に入ると、目新しい商業施設の新規出店が相次ぎ激化した流通戦争のあおりを正面から受けた。99年3月12日、玉屋廃業を正式発表した田中丸善亮社長(当時)の説明が記事にある。<「百貨店の集積が天神地区で進んでおり、福岡玉屋の立地では百貨店経営は向かなくなっていた」>

 (大塚)玉屋は「博多で意地を張って潰れた」と思われるかもしれませんが、そうではありません。イムズの場所や、今の岩田屋新館の場所に出店しようとしていたし、99年にリバレインとして開業した川端商店街の再開発にも名乗りを上げていました。いろんな策を考えて、(天神移転を果たした)大丸のように頑張りましたが、結局どの話もまとまらず、最後は惜しまれて店を閉じるしかありませんでした。

 (大塚)玉屋が閉店したのは「追い山」の日。博多祇園山笠を見届けてから閉店というのも「博多を支えてきたごりょんさん」らしいなと。最後にシャッターが閉まる時、多くの人が涙を流していたのは、長年にわたって博多を支えてきた「商売の枠を超えた絆」があったからだと思います。

 (大塚)「博多の名所」と呼ばれた老舗ビルはゲイツへと建て変わりましたが、玉屋ビルで使われていた「入口の飾りライト」がゲイツに受け継がれているそうです。関係者の誰かが、「玉屋の誇り」を残そうと思ってくれたんでしょうか。ぜひゲイツに行ったときは、入口上のライトを見てやってください。玉屋はもうありませんが、博多っ子たちを支えてきた「中洲の玉屋さん」というキャラとして、ギンギラのモノ語りで生き続けます。

1999年8月、ギンギラの西鉄ホール第1回公演のポスター。大丸と玉屋を描いた「女ビルの一生」など豪華3本立てだった
ギンギラの「ホームグラウンド」となった西鉄ホールのオープンを伝える99年4月24日の記事
玉屋最終日を伝える99年7月16日付の本紙記事。別れを惜しむ客が帰らず、閉店を延長した様子が記されている
閉店を惜しむように福岡玉屋のプレートを触る婦人客=1999年7月15日
玉屋廃業と同じ年、1999年に開業した福岡交通センタービル(現・博多バスターミナル)。一見地味なキャラだが、ギンギラのステージでは重要な役回りを演じる
玉屋廃業翌年の2000年10月20日朝刊。同日、「九州初の本格アウトレットモール」をうたうマリノアシティ福岡が開業し、見出しは「流行の天神VS安売り西部」と伝えた









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